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イスノキはマンサク科に属する暖帯系の常緑高木で、樹皮は灰白色、葉は厚く長楕円形です。伊豆以西・東海・山陽・四国・九州・琉球列島に分布し、長野県内での自生は知られていない。葉に生じる虫こぶが染料に用いられるほか、堅くて重い材は床・柱・机・櫛・そろばん玉などに、柞灰(いすばい)は陶磁器の釉薬に、と多用途に用いられ、庭園樹として近世の大名庭園や御所などに植えられている。
この樹のある桜丸は、脇坂氏初代安元が二代安政を養子に迎えるため御殿を建てた曲輪で、多くの桜を植えたため名付けられたといわれている。堀氏時代には若殿や隠居の御殿として使われ、安政2年(1855)大地震で本丸御殿が大破した後はここで藩主が政務を執っている。桜丸御殿の図(明治4年頃)にはイスノキを望む位置に「御座之間」、「御茶屋」や「青霞楼」と呼ばれる建物が描かれており、桜丸が藩主や一門の、個人的で非公式な生活の場として利用されたことがうかがえる。
自生地の北限を越えた寒冷地の長野県でこのような巨木が今日まで伝えられてきたのは、飯田城主ばかりでなく、地域の人々によって大切に守られてきたことを示している。城下町飯田の歴史と文化を象徴する樹木といえる。長野県天然記念物「飯田城桜丸のイスノキ」 |
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