<大手饅頭の由来>
大手饅頭は天保8年、伊部屋の初代伊部屋永吉が、いまの営業地京橋町で創業したが、当時の備前藩池田氏から特に寵愛を受け御茶会の席には必ず伊部焼の茶器とともに愛用されてきた。
大手饅頭の名称は、当店が岡山城大手門の付近にあったため藩公からいただいたと伝えられている。その親しみやすい名前と風味豊かな味わいは、当時の人たちに備前名物として好評をいただいた。
<大手饅頭の製法>
良質の備前米を材料として、まず麹(こうじ)から作り始め、もち米などを加えながらじっくり日数をかけて、成熟した甘酒を仕上げていく。これに小麦粉を混合し発酵させて生地を調整する。この丹念に仕上げた生地で、北海道小豆を特製の白双糖で練り上げた漉餡を、薄く包み、蒸し上げると、甘酒の豊潤な香りを漂わせながら出来上がっていく。大手饅頭は、昔から伝えられた酒饅頭の基本製法で作っているので、甘酒のコクが餡の甘さとほどよく調和したまろやかな味わいが特徴である。 |