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入江貝塚は、内浦湾を望む標高約20mの段丘上に立地している。集落は段丘の縁近くに竪穴建物による居住域と土杭墓による墓域で構成されている。
土杭墓から出土した成人人骨1体はポリオに感染し、四肢が不自由なまま周囲の手厚い看護を受けながら生きながらえたことを示している。
貝塚は段丘の縁辺や段丘崖の斜面に形成され、アサリやイガイ、ニシン、カサゴ、スズキ、マグロ、エゾシカやイルカ類などが多く出土し、漁労や狩猟が活発に行われていたことがわかる。共同墓地を支えた貝塚に伴う集落のひとつであると考えられる。 |
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<縄文時代の「道」
入江貝塚からは、この近くではとれない材料を加工して作られたものが見つかる。石器の材料になる黒曜石は、道内では白滝、置土、赤井川、豊浦などに産地が限られている。
また、勾玉に使われるヒスイは新潟県でしかとれないものである。この他に北海道には生息しないイノシシやイモガイ、オオツタノハガイで作られたアクセサリーもある。こうした材料は、縄文人が想像以上に活発に行動していたことを物語っている。 |
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<墓としての貝塚>
入江貝塚からは、これまでに縄文時代前期から後期にかけての人骨が19体見つかっている。これらはきちんと埋葬されたものです。貝塚に墓を作るということは、貝塚は単なるゴミ捨て場ではなく、神聖な場所でもあったことを意味している。同様に隣接する高砂貝塚でも晩期の墓が作られている。縄文時代の人々にとって貝塚は特別な意味をもっていたのである。
<弱者を助けて生きる>
入江貝塚や高砂貝塚で発見された埋葬人石は、ほとんどが西の方角へ頭を向けて埋葬されているが、このうちの一体は頭を東に向けて埋葬されており、遺体の上には石が置かれていた。
人骨を調べると、腕や足の骨が極端に細いことがわかった、この縄文人は幼少期に小児マヒにかかり、手足の発育が遅れ、少なくとも十数年間は寝たきりの状態が続いていたのではないかと思われる。自分の力では生活できなかった人も縄文人は手厚く介護していたのです。(画像:小児マヒにかかった人骨 解説板より引用) |
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<入江貝塚で発見された縄文土器>
入江式土器は、縄文後期の始め頃(約3,500年前)に使われていた土器で、入江貝塚で初めて発見されたことからその名が付いた。文様は主に木の棒のようなものが描かれている。北は札幌周辺から南は渡島半島にかけて分布し、青森県や秋田県にかけても、入江式土器と同じような文様の土器が出土する。このことから津軽海峡を挟んで人の往来があったことがわかり。(画像:入江貝塚で発見された縄文土器 解説板より引用) |
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<石で作られた道具>
石で作られた道具には、石鏃(やじり)、石錐、ナイフ、石斧、擦石、石皿、砥石などがある。この中では石鏃が最も多く、弓矢の先端に取り付けて用いるほか、銛(もり)の先端に取り付けてイルカなどをとっていたと考えられる。
また、擦石の中には、「冠」のような形から、「北海道式石冠」と呼ばれるものがある。底面にすりつぶした痕跡が残ることから、石皿と一緒に用いられ、木の実や海獣・魚の肉をすりつぶしたものと考えられる。(画像:石で作られた道具 解説板より引用) |
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<縄文人の食料>「貝類」
貝は70種類以上見つかっている。岩場に棲む巻貝や、砂地に棲むアサリやウバガイなど多く見つかっている。海の浅いところに棲む貝が多く、簡単に手に入る食料の一つだったと思われる。貝類のほかに、ウニはトゲと殻がよく残るため、ウニの層を観察することができる。またナマコや海草などは残っていないが、おそらく縄文人もこれらを利用していたと考えられる。 |
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<縄文人の食料>「魚類・海獣類」
魚類では、マグロ、カツオ、ブリ、サメなどの大型魚の他。ニシン、カレイなどの小型魚も多数出土する。これらの骨角製の釣針を用いる他、小型魚に対しては網の使用も考えられる。
海獣類は十種類確認されており、最も多いのはイルカ類で、オットセイやトドなどがあげられる。こうした海獣類には、骨角製の銛がつかわれたのでしょう。
<動物の骨から作られた道具>
動物の骨から作られた道具は、「骨角器」と呼ばれている。入江貝塚で出土した骨角器では、漁労具が多く、釣針や銛頭が出土している。入江貝塚では、動物の骨や魚の骨がたくさん見られることから、骨角器を使って様々な海の幸をとっていたのでしょう。これら骨角器は、非常に丁寧に作られている。中には文様をつけたものもあり、縄文人の道具に対する思いを伝えてくれる。 |
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<骨からわかる縄文人>
人骨からは当時何を主に食べていたかを知ることができる。北海道では植物性食料の他に、オットセイやイルカなどの海獣類や魚類の割合も高いのに対し、関東では植物質タンパク質の割合が高いことが知られている。なお、この食生活の違いから、北海道と関東では縄文人の虫歯の発生率が異なり、北海道の縄文人には虫歯が少ないことが知られている。 |