1 |
粋な黒塀 見越しの松に
仇な姿の 洗い髪
死んだ筈だよ お富さん
生きていたとは お釈迦さまでも
知らぬ仏の お富さん
エーサオー 玄治店(げんやだな) |
2 |
過ぎた昔を 恨むじゃないが
風も沁みるよ 傷の跡
久しぶりだな お富さん
今じゃ呼び名も 切られの与三(よさ)よ
これで一分じゃ お富さん
エーサオー すまされめえ |
3 |
かけちゃいけない 他人の花に
情かけたが 身のさだめ
愚痴はよそうぜ お富さん
せめて今夜は さしつさされつ
飲んで明かそよ お富さん
エーサオー 茶わん酒 |
4 |
逢えばなつかし 語るも夢さ
誰が弾くやら 明烏(あけがらす)
ついてくる気か お富さん
命みじかく 渡る浮世は
雨もつらいぜ お富さん
エーサオー 地獄雨 |