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鞍馬寺は鞍馬弘教の総本山で、宇宙の大霊(尊天)を本尊とする信仰の道場であり、山内一帯は尊天より活力をいただく心浄かに祈りを捧げる浄域である。
宝亀元年(770)に鑑真和上の高弟鑑禎上人が毘沙門天を祀る草庵を結び、延暦15年(796)には藤原伊勢人が王城鎮護の寺として伽藍を建立、爾来、衆庶の信仰を集めてきた。
豊かに恵まれた大自然の中に、牛若丸ゆかりの地や「九十九折」(つづらおり)などの名勝古蹟が散在し「初寅大祭」「竹伐り会式」など年中行事も多く四季を通じて訪れる人々の心に安らぎを与えている。 |
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「鞍馬の火祭」(毎年10月22日)が行われる由岐神社。牛若丸(義経)とは直接関係ない。桃山時代の代表的建造物で国の重要文化財である。
見上げるような大木は大杉社(願掛け杉)。樹高53m、樹齢800年、京都市天然記念物。 |
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参道を上っていく。本殿金堂に着く。本殿金堂とは、寺院における本堂に該当する建物のことである。本殿までの石段は、主として本鞍馬石(青黒色)と鞍馬石(黄褐色)で出来ている。両方とも約7千万年前の貫入というから鞍馬では最も新しい岩石である。 |
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<義経息次ぎの水>
牛若丸が、毎夜奥の院僧正が谷へ剣術の修行に通ったとき、この清水を汲んで喉を潤したといわれる。800余年後の今も湧き続けている。
<義経背比べ石>
遮那王と名のって10年あまり鞍馬山で修行をしていた牛若丸が山をあとに奥州平泉の藤原秀衡の許に下るときなごりを惜しんで背を比べた石といわれる。波乱に富んだ義経の生涯は、この石に始まるといえよう。
遮那王が背くらべ石を山に見てわがこころなほ明日を待つかな 与謝野 寛 |
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<義経堂>
歴史には文治5年(1189)4月、奥州衣川の合戦にて自害したと伝えるが、義経の魂はこの山におり、遮那王尊として護法魔王尊の破邪顕王の働きを助けているという。この義経堂には遮那王尊を祀っている。
<僧正が谷不動堂>
堂内の不動明王は比叡山開祖伝教大師がここに参籠したときに刻んだと伝えられる。また牛若丸が鞍馬天狗より兵法を学んだ舞台は、このあたりであるという。
<鞍馬山・僧正が谷の天狗>
僧正が谷は木の根道が続く奥の院の大杉権現。不動堂、魔王殿の辺り一帯を指す。この付近は古来から天狗が棲みつき出没、牛若丸(義経)はここで鞍馬の天狗をはじめ高雄・愛宕の天狗などから武芸を教わったと伝えられる。
天狗は古くから山岳信仰とかかわりがあり、修験者が守護神として祀っていたが、中世以降山伏の堕落もあり天狗を妖怪や「魔」とみなす風潮も生まれるなど、時代とともに姿やイメージを変遷していった。本来の天狗とは、山に宿ると考えられる「精霊」で、姿をみせない神秘的存在であろう。
鞍馬・比叡・愛宕・飯綱・白峯・大山・彦山など全国各地の霊山には天狗伝承があり、また大天狗・小天狗・鳥天狗・木の葉天狗などの階層もつけられているが、なかでもここ鞍馬山の大天狗は「僧正坊」と呼ばれ日本各地の天狗たちの総元締めとして、また僧正が谷は総本山ともいえる場所の一つとして語り継がれている。
<謡曲「鞍馬天狗」と僧正が谷>
謡曲「鞍馬天狗」は、源義経幼時の武勇説話を現代物に脚色した曲である。鞍馬山の東谷の僧が、西谷の花見の招きを受けて修行中の稚児平家の公達や牛若丸連れて出かけたが、見知らぬ山伏が来たので気を悪くして帰ってしまった。ただ一人残っている牛若丸の素性を知り憐れんだ山伏は諸所の花の名所を案内し「自分は大天狗である。平家討滅の望みの達せられるように兵法の秘伝を授けよう」といい、翌日からのはげしい修業の末、約束の如く兵法を授け再会を約して大天狗は立ち去ったという豪壮な物語である。
僧正が谷は牛若丸が天狗僧正坊から武芸を習った処で、老杉高く聳(そび)え、巨根を這って昼なお闇く神秘感を漂わせている。 |
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<木の根道>
木の根道は、硬い地質のため杉の根が地中に入り難く、地表を這っているいる珍しい姿です。木の根は、樹木を育て生命を支える大切な働きをしている。踏まないで歩いて行きたいものです。
<極相林>
裸地や、山火事・伐採などで樹木を失った土地には、はじめに光りを好む草が生え、ついでマツやナラのような陽樹が入り込む。その日陰にシイやカシなどの陰樹が生え、陰樹が成長して陽樹を追いやる。すると最後に陰樹だけの林となって永く安定する。これを極相林という。
鞍馬山では、このあたり一帯が極相に達した森である。ウラジロガシ、ツクバネガシ、カゴノキ、サカキ、ツバキなど暖地性の照葉樹や、ツガ、モミなどの針葉樹が中心となり林内にはそれらの若木が育っている。
このような森林ができるまでには、少なくとも200年から300年の歳月が必要だと考えられる。 |
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<奥の院魔王殿>
奥の院は鞍馬山随一の聖地で、大杉権現、僧正が谷不動堂、魔王殿等の堂宇のほか、不動の滝や息次ぎの水、背比べ石、兵法場などの義経ゆかりの遺跡などがあり、木の根の参道はいかにも鞍馬らしい。
<散策コース>
叡電「鞍馬駅」を出発し、仁王門ー由岐神社ー本殿金堂ー義経堂ー僧正が谷ー奥の院と巡り西門へ着く。山中では逆コースで歩く人とも会う。西門から貴船神社に向かう。 |