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この建物は、旧秋田銀行本店として、3年の工期と総工費約5万円を費やして明治45年(1912)7月に建てられたが、秋田市に昭和56年(1981)に寄贈された。秋田銀行本店としては昭和44年(1969)まで営業していた。現在は「秋田市立赤れんが郷土館」(国の重要文化財)になっている。建物はルネッサンス様式やスコットランド様式が取り入られ、明治の貴重な洋風建築を伝えるものとして貴重である。
建築にあたっては、耐震・耐火・防音及び実用的利便さを主眼においている。外観、及び内部とも華美な飾りをできるだけ避け、端正明快に建てられている点に大きな特色がある。
日本建築史上、明治末期の鉄筋コンクリート時代に入ろうとする直前の赤煉瓦の建築として、全国的にも高く評価されている。 |
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赤れんが館内部の壁は大天井を含め、青白色漆喰塗で、大天井は石膏で彫刻された忍冬唐草レリーフ、ギリシャ風アカンサスの葉など、複雑なバロック風模様ながら均整がとれて美しく浮き上がって見える。当時は寒天で型をとり、石膏彫刻をなしたものといわれている。
客溜りの床タイルは、イギリス製の色タイルで、腰壁は、埼玉県産の蛇紋岩を用いている。濃緑の地に、白い方解石の網目模様が入り、白漆喰の壁と調和をみせている。
営業台石や暖炉には、福島県産の霰石が使用され豪華です。
冬期間には、室温を21度に保つように、アメリカ製の円筒放射状の鋳鉄ラジエターが客溜りにあり、その他各室には日本製の立型ラジエターが設備されていた。修復の際、現在のものと取り替えられている。
次からの画像は、冬の赤れんが郷土館の景観です。 |
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赤れんが館の基礎工事には、工期、工費の半分をかけたといわれ、耐震対策には入念を極めている。
地盤を深さ幅とも約2m掘り下げ、太さ18p、長さ3.7mの生松丸太杭を60p間隔で、3列も打ち込み、栗石で固め、その上に厚くコンクリートを塗り、根積煉瓦11段の上に、外壁煉瓦を積んでいる。
床下の土間たたき部分は、全面的にモルタルで覆い、土中からの湿気を完全に防止した耐震、防湿構造となっている。
外壁は煉瓦2枚分(410〜440o)だが、煉瓦造り自体の弱点を補うために、組積煉瓦の間に水平方向に帯鉄を敷きつらね、壁の交差部で垂直方向の丸棒鋼鉄をたてて、帯鉄#(シャープ)型に締めて、各煉瓦を定着させている。そのため建築後起こった男鹿沖地震や日本海中部地震など、強度の地震に際しても、ひびひとつ入らない程頑固な建物となっている。 |
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赤れんが郷土館は、郷土資料博物館として利用されており、赤れんが館・新館・収蔵庫の3つの建物から成っている。秋田の歴史、民俗、美術工芸に関する企画展や秋田市が生んだ版画家勝平得之の作品(勝平得之記念館)関谷四郎記念室などを設置している。 |