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<無縁坂>
『御符内備考』に、「称仰院(しょうこういん)門前通より本郷筋へ従来の坂にて、住古の坂上に無縁寺有之候に付 右様相唱候旨申伝……」とある。
団子坂(汐見坂とも)に住んだ、森鴎外の名作『雁』の主人公岡田青年の散歩道ということで、多くの人びとに親しまれる坂となった。その『雁』に次のような一節がある。
「岡田の日々の散歩は大抵道筋が極まっていた。寂しい無縁坂を降りて、藍染川のお歯黒のような水の流れ込む不忍の池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。・・・」
坂の南側は江戸時代四天王の一人・康政を祖とする榊原式部大輔の中屋敷であった。坂を下ると不忍の池である。
不忍の 池の面にふる春雨に
湯島の台は 今日も見えぬかも
岡 麓(本名三郎:旧本郷金助町生まれ1877〜1951・墓は向丘二丁目高林寺) |
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