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<藤坂>
「藤坂は箪笥町より茗荷谷へ下るの坂なり、藤寺のかたはらなればかくいえり」(『改撰江戸志』)藤寺とは坂下の曹洞宗伝明寺(でんみょうじ)である。
『東京名所図絵』には、寺伝として「慶安3年寅年(1650)閏10月27日、三代将軍徳川家光は、牛込高田辺御放鷹(鷹狩りのこと)御成の時、帰りの道筋、この寺に立ち寄り、庭一面に藤のあるのを見て、これこそ藤寺なりと上意があり」との記事があり、藤寺と呼ぶようになった。
昔は、この坂から富士山が望まれたので、富士坂ともいわれた。『続江戸砂子』に、「清水谷は小日向の谷なり。むかしここに清水が湧き出した」とある。また、ここの伝明寺には名木の藤あり、一帯は湿地で、禿(河童)がいて、禿坂ともいわれた。
藤寺のみさかをゆけば清水谷
清水ながれて蕗の苔もゆ (太田水穂) |
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