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相国寺前の上立売通から出発し、千本通に出会うまで西に向かって歩く。全国的に知られた大きな寺社はないが、お地蔵さんや岩の神様など印象深いものがある通りである。 |
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相国寺から烏丸通の交差点を渡る。同志社大学新町校舎を見ながら進むと、窓辺に草花などを飾っている家が目につく。材木が束ねてあるので何だろうと思って見ると銭湯だった。少し離れて上を見上げると煙突からもくもくと煙が立ち上がっている。まさしく材木で風呂の湯を沸かしているのだ。 |
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堀川通に出会う少し手前に報恩寺がある。そこに「撞かずの鐘」があるので寄ってみる。
<報恩寺梵鐘>
報恩寺には平安時代鋳造の名鐘(重要文化財)がある。この鐘は「撞かずの鐘」といわれ、悲しい伝説がある。
昔からこの附近一帯の織屋では朝夕に鳴る報恩寺の鐘の音が一日の仕事の初めと終わりの合図であった。ある織屋に仲の悪い丁稚と織女がいたが報恩寺の夕の鐘が幾つ鳴るかについてかけをした。丁稚は八つといい織女は九つと言い争った。悪賢い丁稚は寺男に頼み込んで今夕だけは八つで止めてほしい願いを約束させた。何も知らない人のよい寺男は、簡単に引き受けてしまったのである。
さて夕になり鐘は鳴り始めた。丁稚と織女は一つ二つと数え始めたがどうしたことか鐘は八つで終わってしまった。百八煩悩を除滅することを願って、撞くので百八が基準であり、十二分の一の九つが正しいのである。十二分の一、六分の一、四分の一、二分の一等に分けて撞くこともある。
かけに負けた織女は惜しと悲しさのあまり、鐘楼にて首をつり自殺するに及びmその怨霊のたたりが鐘を撞くと不吉な事が生ずるので厚く供養して菩提を弔い、朝夕に鐘を撞くのを止め、除夜と寺の大法要にのみ撞くようになったというのである。除夜に参詣の皆様には一つゞつ鐘を撞いて戴いている近年である。 |
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堀川通を渡ると道の角に「山名宗全邸址」あとの石碑がある。京都市立西陣小学校本館の前を過ぎる。家と道の間のちょとした空間に心落ち着く庭がある。一般民家だと思われるが思わずカメラを向ける。
道際に児童公園があり、園内の一角に小さな祠がある。その祠の説明には『本地蔵尊は、この公園の地中にて永年修業され、この度花壇造成の際出土されたものであり、南無延命地蔵尊と称し町内有志相寄りこの地に安置し、公園で遊ぶ児童達及び附近住民の安全を祈念するものである。』と記されていた。 |
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児童公園の向かいに青果店がある。昔ながらの店構えである。狭い通りを更に西に向かう。道は鍵の手状に曲がっている。 |
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智恵光院通から上立売通に入る。角にある本隆寺の壁が印象的である。この壁には瓦が埋め込まれている。西に向かって撮り、雨宝院から来た道を振り返ってまた撮る。 |
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本隆寺の壁を見ながら進むと右手(北側)に雨宝院がある。この寺は西陣聖天宮、通称は「聖天さん」といわれている。
<雨宝院> (西陣聖天宮)
北向山雨宝院と号する古義真言宗の寺で、「西陣の聖天さん」として親しまれている。本堂に安置する本尊「聖天(大聖歓喜天)像」は、821年、弘法大師(空海上人)が嵯峨天皇の御悩平癒を祈願して安置したものとされ、それが当寺の始まりと伝えられる。
観音堂に安置する千手観音立像は、重要文化財に指定されており、また、大師堂の本尊は汗をかくほど幸いことでも助けてくれるという「阿吽(あうん)あせかき弘法大師像」として知られている。
境内東南には、その水を染め物に用いるとよく染まるとして有名な「染殿の井」があり、夏の旱魃時でも涸れることがない。また、本堂前の「歓喜桜」は、御室の八重桜と同種のもので、根本から八重の花を咲かせる。その隣にある「時雨の松」は、久邇宮朝彦親王が当院参詣の折、その下でにわか雨をしのがれたと伝えられている。 |
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浄福寺通の手前に空き地があり、大きな岩を祀ってある。岩上神社である。岩神神社でないことにどうしてかなと不思議に思う。
<岩上神社>(岩神祠)
「岩神」さんと親しみを持って人々に呼ばれている2m近い巨石が祀ってある。この巨石は二条城の南にあったのを内裏の築山に引こうとしたら吠えたとか、小僧に化けて神泉苑で怪をなしたとか伝える。子供に化けたこともあり禿童石とも呼ぶ。もと二条堀川辺にあったらしく、中和門院(後水尾天皇女御)の御所に移したところ怪異が起こったので、真言僧が当地に移し岩神寺の本尊として祀ったといい、授乳神として婦人の信仰を集めた。寺は西陣焼けと天明の大火で類焼、一堂だけとなり、明治期に廃絶、巨石のみ残る。
浄福寺通を渡り、真っ直ぐ西に向かう。やがて千本通とぶつかる。ここで上立売通の散策を終わることとする。 |